【ワンちゃん本】ペット業界の闇に切り込んだ漫画『しっぽの声 第1巻~第13巻』

『しっぽの声 』

この記事では漫画『しっぽの声 (ビッグコミックス)』第1巻~第13巻について紹介します。

原作は夏緑、作画はちくやまきよしで、公益財団法人動物環境・福祉協会Eva代表理事の杉本彩が協力しています。

動物の悲鳴に耳を傾けて!!!
繁殖業者、生体展示販売、引き取り屋、殺処分…………
ペット流通において、
その命はどのように扱われているのか。
誰かと共に生きたくて、
生まれてきただけのペットが
我々の想像を超える状況に置かれていることがある。
声なき声に、
力を与えるも
殺すも人間。
アニマルシェルターの所長を務める天原士狼と
獣医師の獅子神太一は厳然と立ち向かう――。(Amazon紹介文より)

この漫画はペットを育てている人だけでなく、ペットを育てていない人も含め、できるだけ多くの人に読んでほしいと思うぐらい、お勧めの漫画です。

扱っているテーマは重く、繁殖業者や引き取り屋、殺処分など、ペット業界を取り巻く問題が取り扱われています。巻が進むにつれ、奄美のノネコ問題や繁殖ライオンの問題なども扱われます。

この漫画のすごいところは、ペット業界の問題を多角的に描いているところでしょう。

ペットショップ=悪、動物保護=善というように二項対立で書くのではなく、動物保護団体の多数の闇にも切り込んでいますし、ペットショップの難しさも描いています。

殺処分をゼロにするというのは聞こえはいいですが、殺処分をゼロにしたことで、飼育崩壊をおこし、生き地獄のような状況に動物がおかれてしまうこともあります。当初は善意ではじめた活動がいつのまにか動物を悲惨な状況に押し込めてしまうという恐ろしさも、漫画である程度シンプル化しながら描いているので、わかりやすいです。

悲惨な状況に置かれているワンちゃん・猫ちゃんを「可哀想」と思うだけでなく、引き取り屋、保護団体、ペットショップ、飼い主などペット業界に関わる多数の人を通して、なぜそれが引き起こされたのかという構造的問題にも切り込んでいるのが秀逸だと思います。

命への責任について考えさせられる漫画です。

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